育児の合間に妊娠中の歯科治療について細々と勉強をしていますが、「歯に関して、ここの内容を参考にすれば妊娠中も安心!!!」
というコンテンツが少ないんですよ。それもあってこのページを作ろうと思ったわけなのですが。ということで今回は外の世界に目を向けてみます。はい、米国歯科医師会です!!!本ページでは米国歯科医師会の妊娠中の歯科受診等に関するページを自分なりに訳したものです(ついでに私の心の声も掲載w)。
・検査、治療、予防的な歯科処置は妊娠期を通し問題がありません。
・歯科局所麻酔の使用は可能です。
・亜酸化窒素(笑気麻酔のことかと)や放射線に直接さらされる可能性のある妊娠中の歯科医療従事者は、特別な配慮が必要です。
患者さんというより歯科医療従事者の女性の健康に気を配る必要がありそうにも見えます。以前の記事でも書きましたが、妊娠中の歯科受診は大丈夫なんだよ!ということをあらためて強調したいです、てか全力で強調します。
歯科用レントゲン写真の撮影や局所麻酔を含む口腔ケア全般は、妊娠中のどの時期でも安全です。
米国歯科医師会と米国産科婦人科医会は、抜歯、根管治療、修復(歯に詰めたりすること)などの緊急治療は妊娠中でも安全に行うことができ、治療を遅らせることにより複雑な問題を引き起こす可能性に賛同しています。
妊娠中の患者を治療する場合、産科医に連絡を取っておくと有益なことがあります。また、その際は以下のような質問をするとよいでしょう。
・出産予定日
・ハイリスクな妊娠かどうか。もしそうなら、特記事項や禁忌はあるか?
・推奨すべき鎮痛薬はあるか?
ずいぶん強気。この物言い、私は大好きですけどね。ちなみにここでいう「ハイリスクな妊娠」とは「多胎妊娠」や「合併症の有無」等のことかと思われます。
妊娠中は、このような変化が起きることがあります。
【歯肉炎】ホルモンの変化により、歯周組織内の細菌に対する反応が過敏になることが原因で発生することがあります。
【虫歯】食欲変化による間食の増加、嘔吐による口腔内の酸性度の上昇、ドライマウス、吐き気や嘔吐に起因する口腔衛生不良などの変化により発生することがあります。
【化膿性肉芽腫(補足参照)】薄い紐状の組織が歯肉とつながっている丸い増殖物で、ホルモンの変化により発症することがあります。
【酸蝕歯】 嘔吐直後の歯磨きは、歯が胃酸にさらされるため、避けるよう患者さんに指導しています。その代わりに、酸を中和するために、水1カップと重曹小さじ1杯で希釈した溶液ですすぐことを選択する必要があります。
ここで補足と突っ込みがあります。みてね。
【化膿性肉芽腫(補足参照)】エプーリス自体は悪性なものではないのでそこまで心配する必要はありません。しかし、報告ではエプーリスの放置が起因となり帝王切開となったケースが報告されているので安易にOKとはいいがたい、とお伝えしておきます。
こっから突っ込みです!!!
【酸蝕歯】 嘔吐直後の歯磨きは、歯が胃酸にさらされるため、避けるよう患者さんに指導しています。その代わりに、酸を中和するために、水1カップと重曹小さじ1杯で希釈した溶液ですすぐことを選択する必要があります。
まず、酸蝕歯とは胃酸などの強い酸に歯がさらされることで歯の表面が溶け(脱灰といいます)ることです。歯が溶けるという点では同じですが、虫歯とは成り立ちが違うので明確に区別します。からの、
勢いあまって全消ししてしまいましたが、当該部にエビデンスはありません。米国歯科医師学会ともいう存在が一体なぜこんなところにこれを書いたのかツラ出して説明してほしい怪奇現象ともいえる一文です。
続きます